ふしぎなぴりーこぱん(5/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

すると、絵がだんだんふるえ出した。
何もないはずなのに、うすい紙をやぶって出てくるようなうごきをして、二人のかいた絵は、じめんに立った。
ハートちゃんもキャンディーチーズくんも、もうペラペラの絵じゃなくなってて、体にあつみがあった。
二人はニコニコ顔で、声をそろえて言った。
「はーい! いっしょにあそびたーい!」

ハートちゃんはあんこちゃんにかけよって来て、キラキラしたえがおで言った。
「わたしね、とってもうれしい! ずーっと前から、あんこちゃんと本当のせかいでいっしょにあそびたかったんだもん」
「ハートちゃん、わたしもうれしい!」

うれしくなった二人は、手をとりあっておどった。
大すきなハートちゃんとこうやってお話しできるなんて、ゆめみたい。
あんこちゃんはぴりーこぱんに言った。
「ぴりーこぱんありがとう! ぴりーこぱんってすごいね、何でもできるんだ!」
ほめられたぴりーこぱんは、とくいげな顔でエッヘン!とむねをはった。

「よーし、みんなであそぼう! なにしよう?」
ぴりーこぱんがみんなにたずねた。
「わたし、おにごっこがしたい!」
ハートちゃんがぴょんとはねながら答えた。
「おにごっこなら、こおりおにがいいな」
キャンディチーズくんが言った。
「人数ふえたし、それいいね!」
あんこちゃんもにっこり答えた。

おおぜいであそぶのは、ひさしぶりだから、ワクワク!
それからみんなで『こおりおに』であそんだ。
みんな足がはやくて、あんこちゃんは何回もこおらされたけど、ハートちゃんがすぐにたすけに来てくれたので、楽しくあそべた。

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。