ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(1/6)

文・ひなたのんき  

ぼくたちは、ショックで、しばらく、そこから動けなかった。
「にいちゃん・・・。サンタさん、いないの?」
つよしが、ぼくのジャンパーのそでを、キュッとにぎった。泣きそうになってる。
「そんなわけないよ。きっと、テツヤみたいな、わるい子のところには、サンタさんがこないんだ。サンタさんは、いい子にだけ、プレゼントをくれるんだから」
ぼくは、そう言って、つよしを元気づけたけど、心の中では、ぼくたちより大きい、小学3年生のテツヤが言うなら、本当なのかなって思った。
ぼくたちは、元気が出ないまま、うちにかえった。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。