「あら?」
ママはキッチンに入ってくると、ぼくの手と、ゆかを見た。
「どうしたの。コーヒーなんて、とりだして・・・」
「う、うんと・・。ぼく、パパに、コーヒーいれてあげたいなって、おもって・・・」
ぼくは、あわてて、ウソをついた。
パパは、今日もかえりがおそかった。
ついさっき、「今、えきについた」って電話があったところなのだ。
「パパ、あったかいコーヒー、のみたいと思うんだ。外、さむいでしょ?」
ぼくが言うと、ママは、びっくりしたかおで、ぼくを見た。
「まぁ。たかしったら、やさしいのねぇ」
うれしそうに言われて、ぼくはちょっと、心がいたかった。
「そうね。パパのために、あったか~いコーヒー、いれてあげましょ」
ニコニコするママに、ぼくは、言ってみた。
「ねぇ、ぼくも、のんでもいいでしょ? ぼく、コーヒー、のんでみたい」
さくせんヘンコウだ。ぼくは、ママにおねだりすることにした。
何とかして、コーヒーをのまなくちゃ。
「ぼくものむ~」
いつのまにか、つよしもキッチンに来ていて、いっしょにおねだりする。
ママは、ちょっと迷ってたけど、
「う~ん・・・。じゃあ、クリスマスイブだから、とくべつね」
と言ってくれた。