ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(4/6)

文・ひなたのんき  

「あら?」
ママはキッチンに入ってくると、ぼくの手と、ゆかを見た。
「どうしたの。コーヒーなんて、とりだして・・・」
「う、うんと・・。ぼく、パパに、コーヒーいれてあげたいなって、おもって・・・」
ぼくは、あわてて、ウソをついた。

パパは、今日もかえりがおそかった。
ついさっき、「今、えきについた」って電話があったところなのだ。
「パパ、あったかいコーヒー、のみたいと思うんだ。外、さむいでしょ?」
ぼくが言うと、ママは、びっくりしたかおで、ぼくを見た。
「まぁ。たかしったら、やさしいのねぇ」
うれしそうに言われて、ぼくはちょっと、心がいたかった。
「そうね。パパのために、あったか~いコーヒー、いれてあげましょ」
ニコニコするママに、ぼくは、言ってみた。

エージェント3④コーヒー「ねぇ、ぼくも、のんでもいいでしょ? ぼく、コーヒー、のんでみたい」
さくせんヘンコウだ。ぼくは、ママにおねだりすることにした。
何とかして、コーヒーをのまなくちゃ。

「ぼくものむ~」
いつのまにか、つよしもキッチンに来ていて、いっしょにおねだりする。
ママは、ちょっと迷ってたけど、
「う~ん・・・。じゃあ、クリスマスイブだから、とくべつね」
と言ってくれた。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。