ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(5/6)

文・ひなたのんき  

・・・タン。部屋のドアが、しまる音がして、パパが、部屋を出て行った。
「うっ・・・。うう~・・・」
ぼろぼろ、ぼろぼろ、なみだが出た。
ぼくは、つよしをおこさないように、声を出さないで、なきつづけた。
サンタさんは、いなかった。テツヤの言うとおりだった。
プレゼントは、パパが、おいていたんだ。

「うぅ・・・。ううぅ・・・」
シャン・・・シャン・・・
「うぅう~・・・。う・・・」
シャンシャン・・・シャン・・・
「うぅ~。・・・う?」
シャンシャンシャンシャン・・・
何だろう?
何か、シャンシャンいってる。すずの音?
だれかが、外で、すずをならしてる。だれだろう、こんな、夜中に?
ぼくは、立ちあがって、窓のところに行った。
わなのはこを、すみっこにおしやって、外をのぞいてみる。

%e3%82%a8%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%83%b3%e3%83%883christmas_santa_nightシャンシャンシャンシャンシャンシャン・・・
「あっ!」
ぼくは、見た。まちがいなく、見た。
赤い服をきた、白いおひげの、おじいさんが、トナカイのそりにのって、空をとんでる。
トナカイの首とか、そりのよことかに、すずがついていて、それが、シャンシャンゆれていた。
「サンタさんだ・・・!」

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。