ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(6/6)

文・ひなたのんき  

「にいちゃん、だいじょぶ?」
「ヴ~~」
つよしが、ぼくをのぞきこんで、話しかけてくるけど、ぼくは、のどがいたくて、あんまりしゃべれない。
「ねぇ、にいちゃん。サンタさん、いたのかな」
つよしが、プレゼントのヒーローベルトをいじりながら、ぼくにきいた。
「・・・・・・・・・」
ぼくは、ちょっとかんがえた。
ぼくたちに、プレゼントを持ってきたのは、パパだった。
でも、ぼくは、たしかに、サンタさんが、空をとんでるのを見た。見たんだけど・・・。

さっき、ママに、「ゆぎ、ふっだ?」ときいたら、
「・・・雪? ふらないわよ? 雪はね、もっとさむくならないと、ふらないの」
って、言われてしまったのだ。
「ふふふ。雪がふるゆめを見たの?」
ママはわらってたけど、ゆめなんかじゃない。
ゆめだったら、おふとんの中で、みたはずだ。でも、ぼくは、まどの下にいた。
ぼくは、まどから、サンタさんを見たんだ。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。