ぼくはゆきだるま 2/4

文と絵・かとうゆうこ

しばらくすると、男の人がやってきた。
「あれ? あきらくんしごとにいったのか。かさ、かえしにきたんだけど・・・」
それから、ぼくを見て
「やあ、ちょうどいいるすばんがいるね。このかさもっててくれる?」
そう言って、ぼくの手にかさをひっかけた。

「あきらくんにつたえとくからさ、たのむね」
それで、ぼくはほんとうに、るすばんのゆきだるまになった。

お日さまが、空のだいぶ高いところにのぼって、少しだけあたたかくなった。
「ぼうしがゆがんできちゃったわね」
かいものがえりのおばさんが、ぼうしをまっすぐになおしてくれた。

しばらくして、うでが下にさがってきた。
「かさがおちそうだよ」
ゆうびんやさんが、ぼくのかさをもったうでを、ぐっと体にさしこんでくれた。
〈ありがとう。だいじょうぶです。ぼくはるすばんのゆきだるまですから〉

お昼をすぎると、ずいぶんあたたかくなってきた。
みちのゆきは、もうきえてしまった。
ぼくも少しづつとけてきて、目のまわりから、ポタポタ水がおちはじめた。
「なかないで」
ようちえんからかえる女の子がぼくの目を、ハンカチでふいてくれた。
〈だいじょうぶです。ぼくはるすばんのゆきだるまですから〉

かとうゆうこ について

愛知県在住。子供の頃からお話を作るのが好きで、童話作家になりたいと思っていました。 人生いろいろあり、いまだに夢を追いかけていますが、子供たちに、「生きてるってけっこうおもしろいよ」ということを伝えたいと思っています。 ここ数年は、名古屋の なかがわ創作えほん教室に入って、短いお話を書いています。 マッキーの絵本「123456789のベン」の翻訳をしてアリス館から出版したことがあります。 ENEOS童話賞のはじめの頃入選したことがあります。どちらも大昔のことです。