アイスクリーム・ゴリラ!(5/5)

文・ひなたのんき  

「だって、ゴリラになったでしょ?」
「パパがゴリラに?あっはっは。レナ、立ったまま、ゆめでも見てたのかい?」
「ゆめ・・・? ゆめかなぁ・・・?」
レナは、くびをかしげました。

「ほら、アイスをかってきたよ。レナが、ゴリラあじのアイスはいやって言うから、これ」
言いながら、パパがさしだしたアイスは、ちゃいろときいろの、まだらもよう。
「ニシキヘビあじのアイスだ。シューッ」
いつのまにか、目のまえには、ながいしたを出した大きなニシキヘビが、ぬらり・・・。

「いやーーっ!」
「あっはっは。ごめんごめん。ほんとは、ミルクあじだよ。ひつじのオリのまえでかってきたから、だいじょうぶ」

あれ? やっぱりニシキヘビじゃありません。
パパがわらっています。
手にもっているのも、まだらじゃなくて、まっ白のアイスです。

おそるおそる、レナは、まっ白のアイスをうけとりました。
パパは、ニコニコして、レナがアイスをたべるのを、見ています。
パパのかおが、白くてモコモコしてみえるのは・・・きっと、きのせいでしょう、ね。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。