◆ちょっとしたことの積み重ねが
私も保育士をしていて、ちょうどこの年頃の子どもたちと関わることも多いです。
ある時、お友だちに八つ当たりしてなんだかイライラしている男の子がいました。
その様子から「遊びが見つからないの?」と聞くと、その男の子は「うん!」と半分泣きべそをかきながら答えました。
私はその子を抱っこして「このおもちゃはどう?」と聞いてみました。すると「いや!」と答えました。
その後も順番にいろんな玩具を指さして「これは?」と聞いていってもどれも「いや!」の連発。
最終的に8個目くらいに、窓に貼られていた紙でできた朝顔を「これは?」と言って指さすと、ようやくその男の子は笑顔になり、それを触って遊び始めました。
しばらく遊ぶと、その子のご機嫌も直って自分から抱っこを下りたいという仕草を見せ、また自分で別の遊びを見つけにいきました。
自分の気持ちをどうしたら満たせるのか困っている時に、そっと大人が寄り添ってあげることで子どもは自分でまた気持ちを立て直し、楽しく過ごせるようになります。
そういったちょっとしたことの積み重ねが、実はその子の深い部分で自分を取り巻く身近な存在が自分に寄り添ってくれるという安心感や愛を感じ取り、「自分は世界に愛されている」と感じられる基盤にも繋がっていきます。
この絵本はイヤイヤ期のお子さんを持つ親御さんとっては特に共感してもらえる作品ですし、子どもたち自身にとっても自分の姿を客観的に見る体験にもなって面白いのかなと思います。
ぜひ親子で楽しんだり、保育の現場でも子どもたちにぜひ読み聞かせしてあげてください。