〈そうだ。花びんと花はどちらが目立っても美しくならない。どちらもおたがいを引き立たせるかんけいだ。ということは・・・〉
ステキな思いつきをしたサワガニは、テキパキと両手のハサミをうごかしました。
カガミを見ていたウサギのひとみは、みるみるうちにかがやき出します。
そして、ヘアスタイルが仕上がると、うれしさのあまりイスからとび上がり、くるっとちゅうがえりをしました。
「まぁ、なんてカワイイの!」
ウサギの耳と耳の間の頭には、小さな花のような形をしたまき毛がたくさんありました。
それは頭の上だけでなく、耳やおでこやほっぺたにもつづいています。
サワガニはにこやかに言いました。
「これでしたら、はじめに耳に目が行ったとしても、そのまま花をたどって、おきゃくさま自身も見ていただけることでしょう」
ウサギはとてもまんぞくして、「ありがとう!」と、サワガニに小さなキスをすると、真っ赤にゆであがったサワガニに見送られて帰っていきました。