サワガニはブラシを手にすると、せっせとふくろうの羽毛をこまかくブラシがけしはじめました。
「んあっ!」
ふくろうは、はねるように顔を上げました。
「おきゃくさま、仕上がりましたよ」
サワガニの言葉に、ふくろうは自分がねていたことに気づきます。
「おお、なんと気持ちよくねむってしまったわい。どうしてとつぜんねむれたのやら・・・うん?」
ふくろうは、自分の体がもこもことやわらかなことに気づきました。
よくよく体を見てみると、小さな羽毛のひとつひとつがくるくるとまき毛になっていて、まるで毛布にくるまれているような心地よさだったのです。
「なるほど、これはねむりをさそってくれそうじゃ。サワガニさんありがとう」
ふくろうは大きなあくびをひとつすると、「家に帰って、ひとねいりじゃ」とつぶやいて帰ってゆきました。