〈しかし、どうしたものか〉
サワガニは注文におうじたものの、ハリネズミのかたくとんがった毛をどうしたものかと考えこみます。
ハリネズミの針(はり)は、金ぞくなんかではなく、体毛の一本一本がまとまってかたまっているものですから、ヘアスタイルのひとつとも言えなくもありません。
サワガニはためしに自分の手バサミで切ってみましたが、思った通り、かたくてとても刃が立ちませんでした。
うでを組み考えていると、「そうだ!」と思いつくものがありました。
〈あついおゆでむしたタオルをのせるのはどうだろう。かたいおイモも、ゆでたりむしたりすればやわらかくなるのだから、きっとおきゃくさまの毛もあつさでやわらかくなるにちがいない〉
ところがあつくむしたタオルをのせても、針がやわらかくしおれることはなかったのです。