「あはは! 先生、今でも、お母さんがこわいんすか!?」
「ひどいな、多田君。よし! それなら、今度はレベル2だよ! バキューン!」
《タダー! なんだ、そのバットのふり方は! もっと、こしを入れろ!》
「うわあ、かんとくのかみなりだ! 冷や汗っすよ。じゃ、今度はおれ。レベル3、行きます! バキューン!!」
《五所河原君、わしの娘を泣かせたら許さんぞ!!》
「あはは。お父さんすね、先生の奥さんの?」
「そうそう。いやあ、こわい人なんだよ。今は、アフリカで働いている女房の方にいるけどね。そら、お返しだよ! レベル4!」
「も、もう、やめましょうよ、先生」
「そうだな、多田君。わはは・・」
「わははは・・」
ふたりは、なみだが出るほど、笑いました。
家に帰ると、コスモ博士は、ハツさんに、発明したばかりのテンテキガンをわたしました。
「これを使えば、どんな悪者だって、やっつけられますよ。ただし、レベル10だけは、絶対に、使わないでください。母さんの身に、よほどの危険がせまらない限りね」
「分かったわ、コスモ。ありがとう!」
ハツさんは、いそいそと、明日のパトロールの用意をし始めます。コスモ博士は、その様子を、にこにこ、見ていましたが、ふと、いたずら心を起こして、テンテキガンを、そっと、ハツさんに向けました。
カチッ。
何も起こりません。ハツさんは、せっせと、スタングラやコスチュームを、まくら元に並べているだけです。
「ふしぎなこともあるものだ。お母さんには天敵がいないってことだろうか?」
博士は首をかしげたのでした。