「あらら!」
1個。そして、また1個・・・。
ハツさんは、じっと、目をこらしました。
最初はぼんやり、そして、だんだん、はっきりと、おかしなものが見えてきました。
「人かしら? それにしては、ほっそりしているわ。まるで、ヤナギの木みたい。それに、頭でゆらゆらしているのは何? アンテナ?」
ひょっとして、宇宙人!?
「あなた、どろぼうはいけないことよ!」
ハツさんは、テンテキガンを、どろぼうに向かって打ちました。
カチッ。
何も起こりません。
その代わり、どろぼうが、ハツさんに目を向けました。
「ぼくが見えるんですか?」
「私が見えるのね?」
ふたり同時に、きょとんと、目を合わせ、そのまま、しばらく、固まっていました。それから、変などろぼうが、思い出したように、
「ワレワレハ、ウチュウ人ダ!」
と、カタコト、言いました。
ハツさんは、うぷっと、吹き出しました。
「何よ、いまさら。そんな風に、カタカナでしゃべったって、手おくれですよ!」
と、きりっと、言い返します。
「そうですか? 確か、どこかの家のテレビでは、地球外生命体が、こう、あいさつしていましたよ」
「人んちのテレビをのぞき見していたの!? だめじゃない!」
店番をしていた店員は、きょろきょろ。店内にだれも見えないのに、声だけがしています。
「どなたか、いらっしゃいますか?」
ハツさんは、あわてて、どろぼうのうでを引っ張って、外に連れ出しました。