ステルスおばあちゃん(4/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

だれにも聞かれる心配のない所までやってくると、
「ここならだいじょうぶ。さあ、白状しなさい! あなたはだれ? どうして、マシュマロばかりをねらうの? それに、どうして、私のすがたがみえるの?」
と、一気に、問いつめました。
「いやあ、ぼくのほうこそ、不思議です。どうして、あなたに見つかっちゃったのかなあ? ちゃんと、シールドをオンにしているのに・・・」
どろぼうは、自分のうで時計のようなものを見せました。

「あらま。私のスタングラにそっくりね」
「ほんとですねえ。そのせいですね、きっと。ステルス同志の周波数が相互作用して、ああちゃら、こうちゃら・・・」
「ちんぷんかんぷんですよ。こんなところで立ち話しても、らちがあきません。私の家にいらっしゃい」
「マシュマロは?」
「仕方ないですねえ。私が買ってきてあげますよ」
ハツさんは、スタングラをオフにして、すがたを現すと、マシュマロを買いに、お菓子屋に入っていきました。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに