ステルスおばあちゃん(4/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

その晩、コスモ博士が、いつもより、少し、おそめに家に帰ると、ヤナギの木のようなものが、ハツさんと、リビングのソファーに並んですわって、テレビを見ていました。
山もりのマシュマロを、ばくばく、食べながら!
「母さん! だ、だれですか、それは!?」

ふたりは、ふり返って、立ち上がりました。
「ああ、お帰り、コスモ。こちらはキエール星からやってきたミエンダー・デル・キエールさんよ」
それから、うす緑色の異星人に向かって、
「息子の五所河原濾藻です」
と、博士をしょうかいしました。

ミエンダー氏は、マシュマロのふくろをだいたまま、ゆらりっと、頭を垂れて、
「はじめまして。ミエンダー・デル・キエールです」
と、おじぎをしたのでした。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに