ステルスおばあちゃん(6/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

6 さらわれたミエンダー氏

朝も6時。そんな早くから、多田君がたずねてくるなんて、めずらしいことでした。
「おはようっす、ハツさん! このごろ、パトロール、してないそうすね。町は、大変なことになってますよ。『正義のステルスおばあちゃん』が現れないのをいいことに、カラスはベランダや庭をあらし放題! 公園でも、ヘビが来るんで、親鳥たちは気が気じゃない。ヒナたちも、こわがって、巣の中で、ピイピイ、ふるえているすよ!」
「何ですって!?」
ハツさんはあわてました。

「ミエンダーさん、ごめんなさい! きょうの映画鑑賞は、夕方まで、延期にしてくださいね。私、町を、一回りしてきますから! コスモさん、ミエンダーさんをよろしくね!」
「いいですとも、母さん!安心して、町の平和のために、出かけてください。あとは、私と多田君に任せて」

ハツさんは、久しぶりに、クローゼットから白鳥のつばさを引っ張り出し、スタングラをうでにはめて、「シュワッチ!」と、出て行きました。
その時、何だか、コスモ博士と多田君が、目配せしたような気もしましたが・・・。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに