「いいえ、おばあちゃんのお見まいに行くのです」
「ふむ、おばあさんのお見まいに行くのか。それは感心だが」
そう言うと、ヤマネのおじさんはおやゆびを立てました。
「ひとーつ。そのボールつきをバスにのっている間だけ休けいすることにして、すきな席にすわる」
イノシシのうんてんしゅさんが、うんてん席から身をのり出して、ヤマネのおじさんを見つめて首をたてにふりました。
「ふたーつ」
ヤマネのおじさんは、人さしゆびを立てて言いました。
「そのままボールをつきながら、すぐにバスからおりる。君は今すぐ、どちらかをえらばなければならなーい」
イノシシのうんてんしゅさんが何どもうなずきながら言いました。
「つまりお客さんがお見まいに行きたければ、今すぐボールつきをやめなければいけないってことですよ」
これはこまりました。
ボールつきをやめないとびょういんに行けません。おばあちゃんに会えません。
(でも、こんなに不安なのですもの)
ボールつきをやめたら、大きくなった不安で心がばくはつしちゃうかもしれません。(つづく)