チャン小熊ねずみはふと、おばあちゃんが入いんするまえに言ったことを思い出しました。
「どうにもこうにもならない時は、自分にできる方法でせいいっぱいやることね。そうすればそれなりに何とかなるものよ」
(自分にできる方法でせいいっぱいやってみよう)
チャン小熊ねずみは力づよくうなずきました。
チャン小熊ねずみはおよいだことはありません。
しかしおよいだことがないことはおよげないことではないのです。
アナグマのお母さんがおくるみのヒモをしっかりしめなおし、かた手で子供たちをだきよせました。そしてもう一つの手でカサを開きました。
アナグマのお母さんはチャン小熊ねずみを見て言いました。
「今おりたら、もうバスにはもどって来ませんからね。チャン小熊ねずみちゃんも大切なボールをしっかりかかえておりるのよ」
「はい」
チャン小熊ねずみは両手でしっかりボールをかかえました。(続く)