チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊ねずみー!(1/7)

文と絵・くまもり こぐま

チャン! チャン! チャン! チャン!
今日はひとりでバスにのるのです。
もう、不安でたまりません。
(ちゃんとひとりでバスにのれるのかしら・・・)

ずっとついていたせいで、白かったボールはどろで真っ黒になっていました。
チャン小熊ねずみはおばあちゃんが入いんした時に、このバスていでお見送りしたことを思い出しました。

おばあちゃんはチャン小熊ねずみのひとみをやさしく見つめて言いました。
「今まではずっとふたりでくらしてきたけれど、今日からしばらく、チャン小熊ねずみひとりでくらすのですよ」
チャン小熊ねずみは全しんがコチコチにこおりつきそうな感じがしましたが、おばあちゃんのおなかにほおをうずめ、せなかに両手を回しました。

チャン小熊ねずみは、大へん心のやさしい子ねずみでした。
「おばあちゃんが早くよくなりますように。かならずお見まいに行くね」
「ありがとう、チャン小熊ねずみ。びょういんのちりょうがおわった、1しゅうかんごに来てくれるかしら? でも、ひとりでバスにのらなければいけないのよ」(次のページに続く

くまもり こぐま について

東京生まれ。旅行誌のライターを経てシナリオを書き、その後子供の頃からの夢であった児童文学作家を志しました。童話コンクールで賞をいただいたことをきっかけに、子供だけでなく、大人の心にも寄り添うような作品を書けるようになれたらと思っています。ほのぼのとしたかわいい作品だけでなく、心に迫るような現実を取り扱う作品も書いてます。どうぞよろしくお願いします。