チャン! チャン! チャン! チャン! チャン小熊ねずみー!(1/7)

文と絵・くまもり こぐま

そうでした。
チャン小熊ねずみはいつも、何をするのもおばあちゃんといっしょでした。
(ひとりでバスにのれるのかしら?)
不安になりましたが、チャン小熊ねずみはコクリとうなずきました。

おばあちゃんのお見まいにどうしても行きたかったのです。
(おばあちゃんがしんぱいだもの。それに早く会いたいし)
チャン小熊ねずみは、おばあちゃんの体をキュッとだきしめました。
おばあちゃんはチャン小熊ねずみのせなかをさすりました。
「どうにもこうにもならない時は、自分にできる方法でせいいっぱいやることね。そうすればそれなりに何とかなるものよ」
そう言うと、おばあちゃんはバスにのって行きました。

チャン小熊ねずみはそれからほとんどの時間、ずっとボールをついてすごしました。
この1しゅうかんの長かったこと!
チャン小熊ねずみはおばあちゃんのお見まいに行く日をゆびおりかぞえてすごしたのです。

ゴオン、ゴオ~ン。
バスです。とても大きな音をひびかせて、どろをはねとばしながらやって来ました。
どろ道を走ってきたせいで、バスはまっ茶色になっていました。
(バスが来た!)
チャン! チャン! チャン! チャン!
チャン小熊ねずみはつばをゴクリとのみこみました。

キキキキキキーッ!
まっ茶色のバスがとまりました。バスのとびらが開き、中からイノシシのうんてんしゅさんが声をかけてきました。
「おはようございます! スズラン病いん行きです。のりますか?」
「おはようございます。のります」
チャン小熊ねずみはとても小さな声で言いました。そしてボールをついたままバスにのりこみました。(つづく)

くまもり こぐま について

東京生まれ。旅行誌のライターを経てシナリオを書き、その後子供の頃からの夢であった児童文学作家を志しました。童話コンクールで賞をいただいたことをきっかけに、子供だけでなく、大人の心にも寄り添うような作品を書けるようになれたらと思っています。ほのぼのとしたかわいい作品だけでなく、心に迫るような現実を取り扱う作品も書いてます。どうぞよろしくお願いします。