そうでした。
チャン小熊ねずみはいつも、何をするのもおばあちゃんといっしょでした。
(ひとりでバスにのれるのかしら?)
不安になりましたが、チャン小熊ねずみはコクリとうなずきました。
おばあちゃんのお見まいにどうしても行きたかったのです。
(おばあちゃんがしんぱいだもの。それに早く会いたいし)
チャン小熊ねずみは、おばあちゃんの体をキュッとだきしめました。
おばあちゃんはチャン小熊ねずみのせなかをさすりました。
「どうにもこうにもならない時は、自分にできる方法でせいいっぱいやることね。そうすればそれなりに何とかなるものよ」
そう言うと、おばあちゃんはバスにのって行きました。
チャン小熊ねずみはそれからほとんどの時間、ずっとボールをついてすごしました。
この1しゅうかんの長かったこと!
チャン小熊ねずみはおばあちゃんのお見まいに行く日をゆびおりかぞえてすごしたのです。
ゴオン、ゴオ~ン。
バスです。とても大きな音をひびかせて、どろをはねとばしながらやって来ました。
どろ道を走ってきたせいで、バスはまっ茶色になっていました。
(バスが来た!)
チャン! チャン! チャン! チャン!
チャン小熊ねずみはつばをゴクリとのみこみました。
キキキキキキーッ!
まっ茶色のバスがとまりました。バスのとびらが開き、中からイノシシのうんてんしゅさんが声をかけてきました。
「おはようございます! スズラン病いん行きです。のりますか?」
「おはようございます。のります」
チャン小熊ねずみはとても小さな声で言いました。そしてボールをついたままバスにのりこみました。(つづく)