『はっきょい どーん』
やまもとななこ 作
講談社
相撲のことはよく知らない私ですが、2016年の大相撲初場所で10年ぶりに日本人力士が優勝と大いに沸いたので相撲の絵本を手に取ってみました。
ページを開くと、
――待ったなし! 優勝きめる大一番
と土俵の上から始まり、1ページ目から惹きつけられました。
最強の横綱 武留道山(ぶるどうざん)は大きくて堂々たる貫禄。名前もいかにも強そうです。はじめて挑む明の海は小柄な力士で、大一番に挑む意気込みが顔の表情から伝わってきます。
豪快に塩をまき、「みあって みあって」どーんと、ぶつかり合う体と体。ばちーんと顔をたたかれ、ざざざざざーと土俵際まで追い詰められ、この勝負いったいどうなるのか?
ダイナミックな構図で描かれた絵は臨場感たっぷり、その場で見ているような感覚になります。
ま…け…る……と思った次のページを開くときの、ドキドキ感。思わず息をのみます。
なんといっても絵がすごいのです。墨で描かれたような力強い筆づかいで躍動感があり迫力満点! 文字も墨の手書きで風情があります。
緊張する場面はすべて白黒で描かれ、優勝が決まったラストだけカラーになっているところもとっても上手いなと思いました。
相撲のおもしろさが伝わる痛快絵本。子どもたちが喜びそうな絵本です。
本の見返し(おもて表紙、うら表紙の裏側)に決まり手八十二手と禁じ手八手が描いてあるので、相撲を知らない最近の子どもたちでもわかりやすく楽しめそうです。お父さんが子どもと一緒に相撲をとりながら教えてあげるのもいいですね。
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