ぷりぷりお母さんによってテーブルがふかれた後、ようやくほのちゃんのおはしが入ってきた。
さあ、まざるぞ~。
しかし、しかしだった。ほのちゃんはおはしをぼくたちのまん中につっ立てたまま、ろくにかきまぜてくれない。ぼくはあせった。納豆はねばってナンボなのに。
「さあ、みんなもっとねばろうぜ!」
ぼくはみんなに声をかけた。もちろん、ほのちゃんやお母さんたちには聞こえないような小さな声で。
だってぼくたちが話すことを知ったら、きみわるがって入れものごとゴミばこにすてられてしまうかもしれないじゃないか。もちろんかき回してなんかもらえずに。
必死でいったのに、納豆たちときたらひとかたまりになったままだるそうにこたえるばかりだった。
「やだよ、めんどうくさい。ほのががんばればいいんだ」
「ねばってもねばらなくても、ぼくらはぼくらだ」
二、三の豆は「ちょっとねばってみようか」といってくれたけど、なかまの「むりするな、やめとけ。かったるくなるぞ」の声にシンとなってしまった。