「世界一」のほこりはいったいどこ? まるで豆がくさったようなやつらじゃないか。
あまりになさけなくなってふんっと力を入れたもんだから、からだのあちこちにでこぼこができた。ほのちゃんの手と足みたい。
でもそんなことはどうでもよかった。ぼくはなかまたちをこづいてまわった。
「これじゃあ納豆に生まれたいみがない。ただの豆だよ」
「やめろよ、おまえはしつこいなあ」
みんなはいやそうな顔をした。
その時、お母さんのせかす声がした。
「早く食べないと、学校におくれるわよ」
ほのちゃんは気がすすまないようすでご飯とちょっぴりの納豆を口に入れると、ぷうとふくれた。
「納豆やだ、ベタベタするから好きじゃないもん。今日はなんでパンじゃないのよう」
「買いわすれちゃったのよ。それに納豆はからだにいいのよ」
お母さんの言葉はもうぼくにとどかなかった。
「このまま食べられるのなんか、ごめんだ。ぼくは、ぼくのねばりをまっとうしたいんだ!」
ぼくはお茶わんのはしからするっとおち、すたこらさっさとにげ出した。