ビバ・ネバル!(2/6)

文と絵・高橋貴子

「いやっほう、なんてすばらしいすなんだ。しかも、あっという間にできあがったな。ありがとよ。おれの名前はモックだ。おまえさんは?」
「名まえなんてないよ。でも、あったらうれしいかもね」
「ようし。おまえさんはねばりの天才だから、ビバ・ネバルはどうだ? ビバはイタリア語で『ばんざい』という意味さ。まさに今のおれの気もちだ」
「いいね! でもイタなんとか語とやらを知ってるなんて、きみはもの知りだね」
モックはふふんと鼻をならしてから、にやっとわらった。

「まあな。ものを知らないと、だれにどう利用されちまうかわからないからな。よし、ビバ・ネバル。今日からおまえさんはぼくのなかまだ。ずっとここにいてくれ。いつでもかきまぜてあげるから、すがこわれたらまたたのむよ」
「わかったよ」
ぼくはにこにこしてこたえた。

高橋貴子 について

(たかはし たかこ)米国・オレゴン大学国際関係学部卒業。外資系企業に勤めながら、子どもの本について考えています。子どもが作りたての小説を真剣な目で読んでいたのが最近の一番嬉しい出来事です。第3回講談社フェーマススクールズ絵本コンテスト講談社児童局賞受賞。