「ぼく、たすけてくる!」
ミノムシがしんじられないというようにぼくを見た。
「むりよ。こんなにたくさんの水よ。そしてあなたはとても小さいわ。ちっぽけといってもいいくらいよ」
「ちっぽけだって、たすけてあげられるかもしれないんだ」
ぼくはどんぐりぼうしの中に入った。
「とにかくかきまぜて。いっぱい!」
みんながふしぎそうにのぞきこんだ。
「こう?」
カブトムシが前足でグインとぼくをまわした。
「そのちょうし。それをくりかえすんだ」
「わかった」
みんなが手を入れて、かき回し始めた。
何回も何十回も。
ぼくのからだのどこにあったのだろう。木からこぼれおちそうなほどの糸が出た。