「みんな、手つだってくれるかい?」
「もちろん!」
みんなで糸をもつと、「せーの」でひっぱった。
だけどチョウのからだはほとんどうごかない。
下からの力で、アリが足をすべらせた。
「あ~り~」
「つかまれ!」
ぼくはかた手で自分のからだから糸を一本取ると、おちていくアリにむかってなげた。
アリは糸をはしっとつかむと、それをつたってはいあがってきた。
その間も、ぼくはチョウをひっぱるもう一方の手をゆるめることができなかった。
力をぬくとあっという間に水のいきおいに負けそうだった。
手や足が痛い。なんどもとんだ後だからか、頭もくらくらしてきた。