(これ以上はもう・・・)
みんなのからだがずりずりとひっぱられ木からおちそうになったその時。
とつぜんぐいっと力づよく糸がひかれた。
ぼくがふりかえると、みんなのうしろにモックがいた。
ぼくと目があうと、かれはにやっとわらっていった。
「こういう時は力をかすものだ。おれいをいってる間があったら、もっとひっぱれ」
ぼくはうなずいて、前をむいた。
少しずつチョウのからだが水から出てきた。
「おとさないように、ゆっくりと!」
ぼくの言葉のとおり、みんないっしょうけんめい、だけどしんちょうに糸をひいた。
そして、チョウをぶじ木の上にひっぱりあげることができた。