使いすぎた頭をガンガンさせながらお母さんのところに『夏休みの友』を持っていくと、もったいぶった様子でお母さんは口を開いた。
「役所の人に電話しました。野鳥の許可なき飼育は『違法(いほう)』です」
「違法・・・」
「法律に違反しているということ」
「うん・・・」
「しかし、巣がなくなっていて、親がむかえに来る見こみがない。現在エサも食べている。病気の兆候がなく健康。これらの事情から、今回だけ特別です。巣立ちまで一時的にですが――」
「やったあ!」
「最後まで聞く! 可能な範囲で巣立ちまで手助けしてください。こちらはこの件に関与(かんよ)しません。だって」
「本当はダメっていうこと?」
「そうよ、下手したら『誘拐(ゆうかい)だ』って強くしかられたんだから」
「誘拐? オレ、助けようと」
口をへの字に曲げて、秋斗は抗議(こうぎ)した。