つい、この間まで、仲間たちと過ごしていた岸辺には、もう、氷が、ぎっしり、おしよせています。
でも、先を飛ぶトトから白い光が放たれて、氷の上に、キラキラと、道すじを示しています。
その先の地平は、ほんのり、明るみが差して、太陽のありかを知らせていました。
「あれを目指せばいいのね!」
先を急いでいたアディは、氷の割れ目から、ザブンと、海に落ちました。
「やった! 海の中は、陸より、ずっと、暖かだわ」
アディは、元気に、泳ぎ出しました。
トトの光は海の中にまでさして、アディが息つぎする氷の穴を、先へ、先へと、教えてくれています。
そこには、ピンピンと、ごちそうのオキアミも、集まっています。
アディは、つばさで、力強く、水をかき、足で、いきおいよく、水をけります。
やがて、氷の割れ目が、両側に、大きく開け、息つぎにこまることはなくなりました。
「もう、だいじょうぶ! ありがとう、トト!」
アディは、水面に顔を出して、トトによびかけました。
「じゃあね、アディ。またね。少しの間、さようなら!」
「うん、トト。また会おうね!」
トトは、銀色の光を引いて、星の間に、消えて行きました。