「アディも行こうよ!」
どんなに仲間たちがさそっても、アディは、じっと、モルテンがもどってくるのを待っています。
「どうして、あんなやつを信じるの?」
「だって、友だちだから」
「あきれたな。どうなっても知らないよ」
風は、どんどん、冷たさをまし、雪あらしは、前より、ずっとはげしく、ふきつけます。それは、じっとたえるペンギンたちの後ろに、とても長い雪だまりができるほどでした。
「アディ、ぼくたちも行くよ」
アディをさそい続けていた仲間も、たまりかねて、ついに、アディにお別れをいいにきました。
海岸に残っているのは、アディと、あと、変り者たちが少しだけ。
そんな時になって、やっと、モルテンが現れました。
バサリッと、アディの前に降りると、モルテンは、つばさをばたつかせて、雪をふるい、くちばしで、乱れた羽を、ていねいに、整えました。
「ごめん、おそくなっちゃったね」
「ほんとに、おそかったじゃない!」
「いやあ、これを取りに行くのに手間取ってね」