「でも、どうやって使うの、それ?」
アディは、黒光りのする石を見つめて、首をかしげました。
とても、そんなすごい石には見えません。
「うん。まずは、星が出るのを待たなくちゃ」
「星って?」
「ああ、そうか。君は、この夏、生まれたばかりだから、星を見たことがなかったね。星は、空にあいた穴ぼこだよ。明るいうちは見えないけど、太陽が、どんどん、北へひっこして、暗さがますと、だんだん、見えてくるんだ。
その穴ぼこから、神様のお住まい、つまり、天国からの光がもれて、ぴかぴか、光って見える」
「じゃあ、そこにトトのいるお庭もあるの! でも、そんなに高いところに、どうやって、行ったらいいんだろう?」
「あはは。行けやしないよ。アホウドリたちは、ぼくの知っている鳥の中じゃ、一番に大きいつばさをもっているけど、かれらでも、天国まで行くことはむりだったらしいよ」
「ためしたアホウドリがいたの!?」
「そういうこと。本当にあほう鳥だ」
モルテンは笑いました。