7 トウゾクカモメのじゅ文
モルテンは言いました。
「いいかい、空に星が現れたら、天のいただき近くに、とりわけ、明るい、赤い星をさがして、その場所を覚えておくんだよ。オーロラの姫君たちがダンスを始めたら、その星に向かって、初めのじゅ文を、こう、となえるんだ。
『モルテンの名にかけて』
それから、古代トウゾクカモメ語で
『ギャアギャア、ギャギャン、ンギャー!』」
「やだなあ、そんな変な声を出すの」
「やってみて!」
「グェーグェー、グェゲゲー、グエー!」
「それはペンギン語だろ! ちゃんと、トーカモ語、やって!」
モルテンは、アディに、何度も、練習させました。
「そうそう。そんな感じ。
うまくとなえると、星から赤い光が差して、スクアノタカラを同じ色にかがやかせる。
オーロラたちは、美しい宝石が好きだから、たまらずに、地上に下りてくるんだ。
そこを、がっちり、つかまえる!」
「わかった! それから?」
「つかまった姫は、放してくれるよう、たのむから、そこからが取り引きだ」
「取り引き?」
「ああ。弟を神様の庭から連れてきてくれって、たのむのさ。だけど、忘れちゃいけないよ、アディ、オーロラたちは、みな、自分勝手で、うそつきだってことを。
だから、姫が約束したからって、すぐにじゅ文を解いちゃだめだよ、名前を聞き出すまでは」
「わかった、名前を聞くのね」
アディがうなずくと、モルテンは、2つ目のじゅ文を教えました。
「これで、最初のじゅ文が解けるんだ。
『モルテンの名にかけて。
ンギャー! ギャンギャン! ギャアギャアギャア!』」
「さっきのが逆になっただけみたいね」
「注意して。びみょうにちがうよ」