8 星かげ
太陽は、一日ごとに、低くなっていきます。
ある日、とうとう、太陽は、地平にくっついたまま、横すべりして、その日を終え、次の日には、バラ色と金色の美しい帯を残して、地平線の下に、ぷちんと、消えました。
それから後は、もう、いつまで待っても、顔を出そうとはしませんでした。
アディが生まれて初めて出会う日没です。
でも、空は、まだまだ明るく、おだやか。
「星って、あれかしら」
アディは、深みをましていく空に、点々とともる、小さな光を見て考えます。
「赤いの、ないなあ・・・」
ペンギンの最後の一羽まですがたを消し、もう、残っているのはアディひとりです。
うすやみにしずむ雪の原。
さらさらと、風が流れ始めます。
アディは、首を縮めました。
「雪あらしが来るわ」
アディは、あらしで失くさないように、スクアノタカラを飲み込みました。
間もなく、ビュービューと、目の前が見えないくらいのふぶきになりました。
腹ばいになって、じっと、目を閉じているアディに、あらしは、ビシビシと打ち付け、痛いほどの寒さでしたが、そのうちに、何も感じなくなりました。
ただただ、眠くなりました。
どのくらい、眠ったのでしょう。