100才をだいぶ過ぎたような、本当の姿になった博士は、少年の仕草でモカたちを部屋に招き入れた。トナカイが、テーブルに何かの機械を運んできた。
「おっ、カセットデッキだな」
おじいちゃんが、こっそり教えてくれた。カセットテープを再生するための機械らしい。博士は、枯れ木のような細い腕で、銀ラベルのテープをデッキにセットした。
とたんに、青年の弾んだ声が、部屋中にあふれ出した。
ルリコさんは女神 僕の女神
ずっと隣で微笑んで
ずっと隣で歩んで行こう
変な歌だ。イェーイ、イェーイとか、ビバビバとか、掛け声と
一緒に「ルリコさん」の名前が何度も、熱っぽく繰り返される。
「ん? ルリコさんって、もしかして・・・」
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