ラーメン無料 早いもの勝ち(3/5)

文と絵・夏美

ぼくは家を出て、もう一度ラーメン屋に引き返した。
ドアを開けると、まださっきの犬がラーメンを食べていた。
ぼくはおじさんのそばに寄って小声で聞いた。
「チラシはこの町の家全部に配ってるんですか」
おじさんは答えた。
「全部じゃないよ。この店がある一丁目だけ。配るの大変だからね」
ぼくはお礼を言って店を出た。
ラーメン無料③そして向いのへいの影に身をひそめた。犬を待ちぶせするつもりだ。
どこの犬かつきとめてやるつもりだった。

夏美 について

大阪出身。童話やミステリーが好きで、少年探偵団や少女探偵ナンシーで育ちました。自分もそんな感じの、子供がワクワクできるようなミステリーやサスペンスを書けたらいいなあと思っています。ようやく落ち着いてパソコンに向えるようになった主婦です。尊敬する人はグラン・マ・モーゼスです。