ラーメン無料 早いもの勝ち(3/5) 文と絵・夏美 ぼくは家を出て、もう一度ラーメン屋に引き返した。 ドアを開けると、まださっきの犬がラーメンを食べていた。 ぼくはおじさんのそばに寄って小声で聞いた。 「チラシはこの町の家全部に配ってるんですか」 おじさんは答えた。 「全部じゃないよ。この店がある一丁目だけ。配るの大変だからね」 ぼくはお礼を言って店を出た。 そして向いのへいの影に身をひそめた。犬を待ちぶせするつもりだ。 どこの犬かつきとめてやるつもりだった。 2 / 3«123»