動物村では、毎月一度、会議が行われます。
「今日は、何の会議だろうね」
「きっと、あれだよ。この前、サルのモンキチくんが、木になっていた実を全部食べちゃっただろう? あのことについてだよ」
「いや、アヒルのガー子さんが、池をひとりじめしてることじゃないの?」
村の動物たちが、がやがやにぎやかです。
「おしずかに! 今日は人間界におけるわれわれのイメージをどうかえていくかについての話し合いじゃ。まず、ブタ子さんの話を聞こうかのう」
年取った、議長のヤマネコおじいが、せすじをのばして立ちました。
「わたくし、『ブタにしんじゅ』がゆるせませんわ。ねうちのわからない人には、どんなにかちのあるものをあげても、むだなことのたとえだそうですが、わたくしだってしんじゅの美しさくらいわかりますわ」
「まあ、なんてしつ礼なのかしら。でもそれなら、ネコに小ばんっていう言葉もおんなじですよ。そりゃ、小ばんがあっても、この動物村では使えませんがね。あたしについていえば『ネコにカツオぶし』っていうのもあるんですよ。ゆだんできないじょうきょうをまねくことらしいですけど。目の前においしそうなごちそうがあったら、だれでも、すぐ食べちゃわないこと?」
ネコのミー子が早口でもんくをいったあと、つづけます。
「あたしはね、山田さんちのたかしくんが、お母さんが買い物に出かけた後、かくしてある箱に入ったチョコレートをこっそり食べてるのを知ってるんですよ。それなら『たかしにチョコレート』でいいじゃありませんか。なんでわざわざネコのせいにするんでしょうねえ。まったく人間にはあきれちゃいますよ」
ミー子のことばに動物村のみんなはうなずきました。