地獄と極楽の両チームによる運動会の勝敗はいかに?!

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オニのサラリーマン じごく・ごくらく運動会
富安陽子 文
大島妙子 絵
福音館書店 2021年9月10日刊

今回はご紹介するのは「オニのサラリーマンシリーズ」第4作目となる地獄対極楽の親善運動会のお話です。
主人公のオニガワラケンは、地獄勤めのサラリーマン。
関西弁を話すのも特徴的。奥さんと一男一女の子どもを抱えた立派なお父さんです。

毎年秋になると恒例の運動会が地獄と極楽の世界でも行われます。
地獄チームは赤組、極楽チームは白組に分かれて競技が始まりました。

まず最初の種目は紅白玉入れ。
そこには極楽チームから来た千手観音や阿修羅の姿も見えます。
腕の数が多いのでこれは有利なのでは?と思う中、鬼たちも「負けへんぞ!」と頑張ります。

その後も借り物競争、騎馬戦・・・など様々な競技が行われ両者一歩も引かず。
勝敗は最後の種目、かけっこに託されました。
と、その前にお昼のお弁当の時間が入ります。
それぞれが家族と集まって、和気あいあい美味しそうなお弁当を食べるシーンはなんとも微笑ましい雰囲気です。

鬼たちのお弁当は何かな?
観音様や文殊菩薩様のお弁当も気になりますよね。
よく見るとお隣さんとおかずを交換したりしていて、とても楽しそうです。

このシーンを見た時、私が小学生だった頃、同じように運動会のお昼休みに
家族そろって母が作ったお弁当を食べた日のことを思い出され、急に懐かしい気持ちになりました。

そして、最後の競技であるかけっこが始まります。
そこにはなんと、あの有名な韋駄天の姿も!
オニガワラケンは奥さんや子どもたち、同じサラリーマン仲間たちに応援されながら負けじと走る走る!
そしてゴールと思える柱が見えてきた!
「これで一等や!!」と思った瞬間・・・・。
最終的にどちらのチームが勝ったのしょうか!

続きはぜひ絵本でご覧ください!
この絵本の対象年齢は3歳~6歳くらいです。
読み聞かせはもちろん、字が読めるお子さんは自分一人で読みながら絵の細部にも目を凝らしていろんな鬼や仏様の姿を見てさらに楽しみを深めてよいでしょう。

人間の世界と同じように、地獄や極楽に住む鬼や神様もこんな風に過ごしていると想像するだけでワクワクしますよね。
また、大島妙子さんの個性的で表情豊かな登場人物たちの絵がとても魅力的です。
可愛らしく、どこか面白い! 思わずクスっと笑ってしまうような登場人物たちがいっぱい。
細部までくまなく見てみるとさらにこの絵本を楽しめます。
ぜひ親子で一緒に笑いながら楽しんでくださいね。

えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 著書に『おへそはなにしてる?』(クリエイターズ絵本「YOMO」) ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】