目の下には、見渡す限り、雲の海原が広がっています。空は青く、水を打ったような静けさです。
でも、耳をすますと、かすかに、キーンと、ガラスをはじくような音がします。
「何だろう?」
見上げると、そこに太陽がありました。ダイヤモンドのような、固く、すんだ光を放っています。
「おお、何というまばゆさじゃ!」
王様の太陽を取りたい気持ちは前よりもっと強くなりました。
でも、今度は憎らしいからではありません。
「あれをわが宮殿の屋根に飾ったら、さぞや、ごうせいに輝くことじゃろう。さあさ、早く、取っておくれ」
王様は、せっかちに、お坊さんをうながしました。
すると、お坊さんは、
「では、ちょっと、失礼いたしますよ」
と言って、片手を、すうっと、王様の胸に差し入れました。驚いている間もありません。
お坊さんが手を引き抜くと、そのてのひらに、つるつるした、あわいピンク色のきれいなつぼが乗っているではありませんか。