ある日、王様がお城の窓から外をながめていた時のこと、「あ~」とあくびをしたひょうしに、空を行く太陽が目に止まりました。そして、どうしたわけか、それが、ひどくいとわしく思われました。
「わしの頭の上でギラギラしている、あいつは、いったい、何者じゃ。何の権利があって、わしの上を行くのじゃ」
見れば見るほど、腹が立ってきました。
「神々さえ、はばかって、わしの宮殿の上は飛ばぬと聞くに、何とも無礼なやつ。よし、すぐに、打ち落としてしまおう」
そう、思い立った王様は、家来の中から弓の名手を選び出し、都で一番高い塔に上らせました。太陽を射落とさせようとしたのです。
でも、どんなに強い弓を使っても、太陽までは届きません。
「ううむ、悔しい。だれか、いい方法を知らぬか」
すると、とても年取った、しわくちゃ顔の大臣が、かしこまって、言いました。
「王様。東の果てには太陽の昇る山があると聞いています。そこならば、太陽をひっかけて、取ることができると存じます」
「おお、それは名案じゃ」
王様は、ぽんと、ひざをたたきました。
「さっそく、象軍を東に進めよ」