妖精ヤコブの冒険(1/3)

文・潮浜 優   絵・ゆき


俺様(おれさま)は妖精ヤコブ
この村に住む大妖精(だいようせい)さ

昔この村にいた妖精はいなくなっちまったらしいが
俺様はそんなバカなマネはしないぜ

妖精のすがたはだれにも見えない
妖精の声はだれにも聞こえない

だからイタズラしてもだれにもおこられない

イタズラしほうだいさ

今日もある家にしのびこんで、おいしくチーズをいただいている

キッチンでムシャムシャしてると
ん? だれか来たようだ

俺様のすがたは見えないが
人間の目の前で食べるわけにはいかない

どこかへかくれるか

「やれやれ、人の食事をジャマしやがって」

「だれ? だれかいるの?」

女の子の声がする

「フン! 食事中に来んなよ!」

「だれかごはんを食べてるの?」

「そうだよ 食事してるのにジャマすんな」

「ごめんなさい、でもジャマはしないわ」

あれ? 俺様の声が聞こえてる?

女の子がキッチンに顔を出した

潮浜 優 について

(しおはまゆう) 千葉県出身。子供の頃からお話しを書くのが大好きで、マンガや小説を書く。現在も仕事のかたわら、ブログやマンガ投稿サイトなどに連載中。 https://rookie.shonenjump.com/users/1609047349019437530

ゆき について

晴れた空を見上げたとき、そこに何色が見えますか? 冴え渡った青のなかにあるピンクや黄色や緑色・・・目を凝らさないとみつからない秘密の素敵な色を探すのが好き。幼少期から絵に親しみ油画や石彫を学んだ後ブランクを経て、2018年からデジタルイラストを始める。かわいいものや幻想的なイラストが多く、色使いや光が特徴的なイラストを描いています。