「お、おまえ俺様の声が聞こえるのか?」
「あなたはどなた? 今はおとうさんもおかあさんもいませんよ」
「どなたって、目のまえにいるだろうが」
「ごめんなさい、あたし目が・・・」
「見えないのか・・・」
「あ、わかったわ! あなたはイタズラ好きな妖精さんね」
なんで俺様の声が聞こえるんだ・・・
「奇跡をおこす妖精さん、食事のジャマはしないから安心して食べて」
「俺様は奇跡なんておこさないよ。それにちゃんとヤコブって名前がある」
「ふうん、じゃあヤコブさん、ゆっくり食べながら、あたしとお話ししましょう」
女の子の名前はサーシャっていうそうだ
ちいさいころに病気になってから、だんだん目が見えなくなって
今は一人で外に行かせてもらえず、ずっと家にいる
だからだれかとお話ししたいんだとさ
「フン、大妖精の俺様が人間なんかと話すもんか!」
「へぇ、大妖精なんだ」
「ああ、いろんなことができるんだぜ」
「すごい、どんなことができるの」
「ふふん、それはな、いろんなじゅもんが使えるのさ」
いつのまにか日がくれてきた
「・・・というわけさ!」
「ヤコブと話してると楽しいわ、また遊びに来てね」