妖精ヤコブの冒険(1/3)

文・潮浜 優   絵・ゆき

「お、おまえ俺様の声が聞こえるのか?」

「あなたはどなた? 今はおとうさんもおかあさんもいませんよ」

「どなたって、目のまえにいるだろうが」

「ごめんなさい、あたし目が・・・」

「見えないのか・・・」

「あ、わかったわ! あなたはイタズラ好きな妖精さんね」

なんで俺様の声が聞こえるんだ・・・

「奇跡をおこす妖精さん、食事のジャマはしないから安心して食べて」

「俺様は奇跡なんておこさないよ。それにちゃんとヤコブって名前がある」

「ふうん、じゃあヤコブさん、ゆっくり食べながら、あたしとお話ししましょう」

女の子の名前はサーシャっていうそうだ
ちいさいころに病気になってから、だんだん目が見えなくなって

今は一人で外に行かせてもらえず、ずっと家にいる

だからだれかとお話ししたいんだとさ

「フン、大妖精の俺様が人間なんかと話すもんか!」

「へぇ、大妖精なんだ」

「ああ、いろんなことができるんだぜ」

「すごい、どんなことができるの」

「ふふん、それはな、いろんなじゅもんが使えるのさ」

いつのまにか日がくれてきた

「・・・というわけさ!」

「ヤコブと話してると楽しいわ、また遊びに来てね」

潮浜 優 について

(しおはまゆう) 千葉県出身。子供の頃からお話しを書くのが大好きで、マンガや小説を書く。現在も仕事のかたわら、ブログやマンガ投稿サイトなどに連載中。 https://rookie.shonenjump.com/users/1609047349019437530

ゆき について

晴れた空を見上げたとき、そこに何色が見えますか? 冴え渡った青のなかにあるピンクや黄色や緑色・・・目を凝らさないとみつからない秘密の素敵な色を探すのが好き。幼少期から絵に親しみ油画や石彫を学んだ後ブランクを経て、2018年からデジタルイラストを始める。かわいいものや幻想的なイラストが多く、色使いや光が特徴的なイラストを描いています。