さらに地球と対比するような形で出てくる火星。地球人は火星に仲間を求め、また火星人も地球に仲間を求めている。お互いに引き寄せ合う異質なもの同士。そんな火星人をよく見てみるとなんと「なると」の宇宙船に乗っているのです。主人公の僕はラーメンの海苔の上に仰向けになり、物思いにふけっています。その時、主人公のへその緒が何かと繋がっていて、深い意味を帯びているように読者に訴えかけてきます。
この詩にあるのは「孤独」という深淵なテーマです。人間が潜在的に抱える孤独から生まれる様々な苦しみや悩み、不安を伝えているように思えるのですが、ただ単にそれだけで終わらせない、それを深刻にとらえさせ過ぎない、どこか楽観的な視点も含まれているように受け取れました。これは谷川さんの持つの優しさなのでしょうか。(次ページに続く)