幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その2

新連載の第2回目です。
今回は幼年童話における漢字の使い方です。

その2 幼年童話で漢字を使う

◆幼年童話なのに

前回(「幼年童話の書き方」)、プロフィールに「教員として小学校に勤務した経験のもと」と紹介していただいたので、少し補足を。教員だったこと、隠していたわけじゃないんですがね。
学生時代は広告代理店に就職するつもりで「広告」のゼミに入り、コピーライター教室にも通っていたんですが、卒業後は公立小学校の教員になり、20年ほど地元の小学校に勤めていました。

今回のテーマは「幼年童話で漢字を使う」です。
創作講座の受講生や同人誌のみなさんの作品を読んでいて、ときどき漢字の使い方に驚くことがあります。幼年童話なのに難しい漢字がいっぱいという作品があるんですね。ときには6年生でも習わないような漢字も入っていたりして・・・。

この作者は読者が低学年の子どもと知っているのかなあ? 幼年童話を読んだことがないのかなあ? 漢字の多さは原稿を一目見ればわかることなので、読む前からそんなことを考えてしまいます。

児童文学作品では読者対象とする学年の前年までに習った漢字を使うのが一般的です。2年生を読者対象とするのなら1年生で習った漢字という具合です。しかも総ルビで(原稿の段階ではルビを付けませんが)。
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。