幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その4

省略を効かすことでも文章はシンプルになります。主語や接続詞は省略できるものがけっこう入っていたりします。「なくても困らないものは要らないもの」と覚えておきましょう。ただ、読者は低学年の子どもたちなので、なくても困らないものかどうかの判断は難しいのですが。

◆一つの文が40字以内で

要らないものという点では美化語も対象になるかもしれません。美化語は敬語の一つで、「おてがみ」「ごあいさつ」など接頭語の「お」や「ご」がついたことばです。幼年童話だからといって、やたらと美化語を使う必要はないですからね。
単文にする以上は短くなければ意味がありません。「一つの文が40字(400字詰原稿用紙なら2行)以内」を目安にしましょう。
文末表現は敬体(ですます調)か常体(である調)のどちらかに統一しますが、同じ言い回しが続くと単調になるので工夫が必要です。文末表現に変化をつけることで文章がリズミカルになります。

倒置法や体言止めも文章に変化をつけてリズムが生まれてきますが、使い過ぎると落ち着かない文章になります。また、これらは強調表現でもあるので、その効果が薄れてしまいます。だから、要注意!

リズムがあるシンプルな文章でテンポよく話を進めていくことで、低学年の子どもたちは飽きることなく最後まで読むことができます。

野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
https://x.gd/etXKc
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
https://x.gd/oTLHR
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。