幼年童話の書き方~第1部「基本のキ」その5

その5「会話文の活用」

理想的な台詞とは

台詞(せりふ)は人物のキャラクターの説明に使うもの。状況を説明するのは台詞にしないほうがいい。

これは、わたしが「亜空間」の合評会での講評を書き留めていたノートにあったメモです。人がしゃべるときにはその人の個性が口調に出るものだから会話文は人物のキャラクターを描くのに活用しようぜ、ということです。

で、人物の口調で状況の説明をすると、長ったらしくなったり回りくどくなったりするので、それは地の文で書いた方がいいぞ、ということなんですね。

那須正幹さんの『ズッコケ三人組』シリーズには、ハチベエとハカセとモーちゃんが3人でやりとりする場面がたくさんあります。それぞれの口調の違いがはっきりしているので、会話文の後に「と〇〇が言いました」なんて地の文が入ってなくてもだれの台詞かわかります。だから読んでいてやりとりの流れが止まることはありません。(流れを止めるために、意図的に地の文を挟んであることはありますが)
わたしはこれが理想的な台詞だと思っています。

会話文は地の文よりも読みやすいので、読書経験の少ない読者に向けて書く幼年童話では会話文を多めにするといいです。こういうのも会話文の活用ということになるでしょうか。
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野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。