幼年童話の書き方13 ~第2部「名作に学ぶ」その1

抜群の着想力
その5「会話文の活用」のところで書いたように、セリフを大阪弁にするだけで大阪人になるかというとそんなことはなく、大阪人を描くから必然的に大阪弁になるわけで。けんいちもおとうちゃんもおかあちゃんも、そして冷蔵庫も、みんな大阪人らしい大阪人です。

『おーいペンギンさーん』はどんどん突っ走る展開のおもしろさ、『れいぞうこのなつやすみ』はキャラクターのおもしろさといったところでしょうか。どちらも「もし……だったら」の着想は抜群です。

わたしは学生時代4年間、大阪の吹田市に住んでいました。大学のサークルで大阪人の友だちができてわかったのが、彼らは大阪弁にプライドを持っているということ。東京へ行っても大阪弁を使い通すし、大阪育ちではない人間が大阪弁をまねるのをとても嫌がります。

そのことを知ってから、わたしは、大阪弁っぽいしゃべり方をするのをやめました。自分の作品で安易に大阪弁を使うことも。


野村一秋先生のインタビュー記事もぜひご一読を!

『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(1/3)
https://x.gd/etXKc
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(2/3)
https://x.gd/oTLHR
『ミルクが、にゅういんしたって?』著者・野村一秋先生に聞く(3/3)
https://x.gd/sq5xe

野村一秋 について

(のむら かずあき):1954年、愛知県に生まれる。教員として小学校に勤務した経験のもと、子どもの目線に立った作品を生み出している。日本児童文芸家協会会員。日本児童文学者協会会員。日本文藝家協会会員。主な作品に『天小森教授、宿題ひきうけます』(小峰書店)、『しょうぶだ しょうぶ!』(文研出版)、『ミルクが、にゅういんしたって?!』『4年2組がやってきた』(共にくもん出版)などがある。