その3『きいろいばけつ』
どの文も短くてシンプル
第1部その4で、「幼年童話の文章はシンプルとリズミカルが基本です」と書きましたが、今回の『きいろいばけつ』はそのお手本となる本です。
幼年童話の中でも、これは文章を読み始めて間もない、読書経験の少ない子どもたちが読者対象になる本です。
話が始まる見開き1ページ目はこうです。
げつようび
きつねの こが まるきばしの たもとで、きいろい ばけつを みつけました。
「だれのだろう?」
きつねの こは、ばけつを まうえから みおろしました。なかに、ほん
の すこし みずが はいっていました。
どの文も短くてシンプルです。修飾語も必要最小限に抑えられているでしょうか。これはもう、描写が薄いなんてもんじゃないです。もちろん、その分、挿絵で補っているわけですが。
(次のページに続く)