『プンスカジャム』
くどうれいん・作 くりはらたかし・絵
福音館書店 2021年9月3日刊
◆大きくてまるい形をした赤い車
「もうしらないぞ。もう、もうもう、もうもうもう、ぼくはおこった! 」
主人公の小学2年生のハルが、公園から怒って出てくるシーンからこの物語は始まります。
公園で遊ぶ約束していた友達のタニくんが待ち合わせ場所に姿を見せなかったのです。
ハルはそのまま家に帰りたくないと、怒りに任せていつもとは違う方へ歩いていくと、大きくてまるい形をした赤い車を見つけます。
そこには「ベーカリーあんぐり」「あなたのプンスカ、ジャムにします」と不思議な言葉が書いてありました。
すると、車の中から「あぐりさん」と名乗るおばあさんが現れます。
ハルが中をのぞくと、そこはいろんなパンが並べられたパン屋さんでした。
あぐりさんはハルの怒った顔を見て、車の中に招き入れるとメロンパンとお茶をごちそうしてくれます。
でも、ハルはあぐりさんとお話しているうちにまた怒りがぶり返してきてしまいます。
そこであぐりさんは魔法を唱え、 ハルのおへそから出てくる煙、「プンスカ」をお鍋に入れてハルに木べらでかき混ぜるように言います。
ハルは自分の中から出てきた「プンスカ」をかき混ぜながら、
自分の怒りの感情ともう一度真正面から向き合います。