◆なんで怒ってたんだっけ?
そして、段々と冷静になって、怒るやめ方がわからなくなっていたことに気づきます。
その時、「ぼく、そういえば、なんで怒ってたんだっけ?」という心境に変わります。
その頃にはお鍋の中にピンク色にキラキラ輝くジャムが出来上がっていました。
あぐりさんはそれをお土産にハルに持たせてくれます。
そしてその帰り道、タニくんとばったり出会います。その時タニくんが待ち合わせ場所に来なかった本当の理由がわかりました。ちょっとした行き違いがあったんですね。
この童話は、怒りの昇華する方法、怒りの感情との向き合い方を大人にも子どもにもわかりやすく伝えてくれているように思います。
怒りを目に見える「プンスカ」というものに見立て、それを自分で見つめながら、怒りの感情が身体のどの部分に感じられるのか一つ一つをリアルな感覚とともに感じ切ります。
そうすることで怒りの感情エネルギーは昇華されるのですが、その過程が見事に描かれています。
私は初めて読んだ瞬間、心理学における感情、特に怒りのコントロールを物語を通して伝えようとされているのかなとこの作品に込めた意図を感じずにはいられませんでした。そこに作者であるくどうれいんさんの感性の鋭さ、秀逸さを感じ取りました。