春を泳ぐヒカリたち(11/11) 文・高橋友明 目覚めてそれが夢だとわかると、ぼくは自分の横柄(おうへい)な態度に、笑ってしまった。 窓を開けて外を眺めると、春がいよいよ本格的に居座っていた。 やさしいヒカリが、なにもかもをいっぱいに包みこんでいた。あの電柱も、さえずる小鳥たちも、あの家も、あの空も、そしてぼくのことも。 いつかいったべにちゃんの言葉がきこえる。 ――世界ってすてきね。わたし達この世界をあますことなく、生きていけるんだね。 (おわり) 2 / 2«12